現場で使えるカメラ
ニコンのカメラをメインで使っていた。10年ほど前、D4とD800。過不足なく、むしろ、ニコンのカメラの信頼性を頼りにしていたと言える。
ミラーレスカメラが徐々に広まっていていた頃、D800をソニーのα7に替えた。写りに問題があるわけでもなくきちんと写ってくれていたが、ニコンに比べてボディの弱さを感じながら使っていた。家電ぽい強度、みたいな感じである。カメラは家電ではないので、やはりそれなりに精密機器には過酷な状況で使わなければならないことも少なくない。雨はもちろん、豪雨だったり台風だったり、真夏の40℃近い暑さから、マイナスになる真冬の撮影まで、状況を選ぶことはできない。そういう場合、αには何か不安を感じていた。そして、αは壊れた。これは私が悪いのだが、室内で三脚ベースを取り付けるために、万が一に備えてカーペットの上でしゃがんでカメラを足元近くまで下げていたのだが、ついポロっとカメラを落としてしまった。もちろん、カーペットの上ではあったが、カメラがゴロンと転がった。それで、終わり。カメラは電源が入らなくなった。「そんなことある?」と思ったが、修理に出したら基盤の交換と調整、3万円弱。以前、D4を地面に叩きつけたことがある。夜、神社の参道を走っていて転んだのである。私は、普段から右手首にストラップを巻き付けて常にカメラを持っているのだが、その転んだ時、真っ先にカメラを地面につけてしまった。「やばい」と思ったが、すぐに立ち上がり電源のオンオフを確認、モニターも使える、ファインダーも大丈夫、試しに撮影してもきちんと記録されている。撮影は続行できた。家に帰ってから明るいところでカメラを確かめたら、レンズフードに傷、カメラボディ左上のカメラストラップ取り付け金具に大きく削れた傷、その程度だった。
ソニーを諦め、プライベートで使っていたフジのカメラの出てくる画が良かったので、X-PRO2を実践投入した。これもボディに(特にファインダーに)心細さがあったので、のちにX-T2を使った。ダブルスロット、レンズを含め防塵防滴、安心感は多少増えた。しかし、EVFが撮影についてこれていない。輝度差が大きいところでカメラを左右に振ると、ファインダー像がその輝度差についてこれていない。また、電源offからonの切り替えにもファインダーはついてこれていない。これには、ちょっと困った。撮り逃すと言うよりも、撮り逃しそうで嫌だった。しかし、フジが作る画は気に入っており、次にX-H1、動画用にX-T3と手に入れて使っていた。ファインダーの反応は改善されてる気がしなかったが、それは人間側で対応することにしていた。
ミラーレスを使っていても、肝心な撮影のメインカメラはニコンの一眼レフを使っていた。D4は画像数が足りなくなっていたので、D800→D810→D850と買い換えていった。そして、現在は、メインがD850とX-H1、サブでX-T3、スタジオはGFX50Sというカメラが私の現場カメラになっていた。そこに、ニコンのミラーレスが割り込んでくるとは、考えていなかった。
ふと、ニコンのミラーレスZ5を使ってみようと思ったのだ。X-H1もX-T3もAPS-Cだが、なんの不満もなかったし、出てくる画像も気に入っていた。どちらもダブルスロットだし、耐候性もある。不満はないのだが、同じクラスのニコン機はどうなんだろうと考えてしまったのである。使ってみたら、Z5は思いの外良かった。何が良かったかと言えば、まずはカメラのグリップ部分、ここが長年使ってきたニコンのソレだったのである。もちろん、縦方向に短いのでグリップを後付けしたが、その握りはD3桁を浅くした感じだった。グリップは大切で、長時間カメラを保持する必要がある場合、移動の際に持っている場合、人混みの押し合いへし合いの中で力を入れて握らなくては危ない場合等、軽くつまむように持つカメラよりもグッと力を入れて握れる方が安心するのである。そして、ファインダーも綺麗に見えた。バッテリーは基本的にD850と共通、充電器も使える、カードはSDx2、画素数も十分だった。出てくる画像は、スッキリしていて、RAWで撮りLRで処理することを考えればフジでなくてもいいんじゃないか?と思わせる感じだった。そして、可能なら同じメーカーで揃えたほうが、画像の出来上がりも良いのではないか?などと考えてしまった。何より、10年以上使ってきたニコンのカメラへの信頼性、これがZ5を使う理由になった。Z5は入門機という位置付けだが、十分業務に使えると思っている。しかし、X-T3の代わりとなると、Z6IIだとも思える。Z6IIでダブルスロットになり、撮影データのバックアップに安心感を持てるようになった。
結局、現場で使うカメラに必要なものは、信頼性だと考えている。データを消さない信頼性、どんな状況でも撮影を続けられる信頼性。センサーサイズや画像の仕上がりは、その次である。
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